国連公海漁業実施協定
会議設定
議題 :国連公海漁業実施協定 (正式名称:分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定)
議場 :国連公海漁業会議
設定日時 :1995年7月24日〜8月4日(予定)
使用言語 :すべて日本語(成果文書は一部英語併記可)
会議参加国数(予定):20-30か国程度
募集人数(予定) :20-40人程度
フロント
会議監督:湯ノ口 慧(国立研究会・一橋大学法学部4年)
議長:毒島 俊樹(国立研究会・東京外国語大学国際社会学部4年)
秘書官:向後 大翔(国立研究会・神戸大学大学院国際協力研究科博士前期課程1年)
吉田 直樹(駒場研究会・東京大学法学部3年)
報道官:小西 啓太(国立研究会・一橋大学商学部4年)
参加者へのメッセージ
こんにちは。当会議で会議監督を務めます、湯ノ口慧と申します。当会議のページをご覧になっている皆様も薄々感じていると思いますが、この会議はお世辞にも派手な会議とは言えません。目を引くような特徴的な議題でもなければ、会議設計も至ってシンプルです。私自身これまで当会議の議題のようなテーマについて主体的に学ぶことはありませんでした。ではなぜ一見すると面白みに欠ける会議を作ろうかと思ったのかというと、それは模擬国連の「基礎」が問われる会議を全日本大会という場で行うことに意義があるのではと考えたからです。
模擬国連活動に参加している方々が持つ目的意識や、会議が示す理想像はそれぞれ異なっています。個人的に多種多様な価値観を持つ方々が同じ一つの活動を行うことが模擬国連の大きな魅力だと考えておりますが、忘れてはならないのは、あくまでも我々の共通言語は模擬国連であるということです。模擬国連に対するベーシックな認識が欠如した状態では、活動から得られる効果は薄くなってしまうでしょう。そのため、どの様な目的を有していても、また今後どんなタイプの会議に出る・会議を作るにあたっても、この基礎固めをしっかり行うことはすべての方にとって有意義なものになるはずです。
「基礎」は決して「簡単」という意味ではないとよく言われますが、模擬国連においても同様だと思います。模擬国連で問われる能力のすべてを完璧と呼べる精度まで高めることは困難だと言えるでしょう。多様かつ難解な基礎の体得を進めるに当たり、自身の現在地点を把握する機会として、模擬国連活動を行ってきた一年間の節目になる全日本大会は最適だといえるのではないでしょうか。
冒頭において、当会議は派手ではないと申し上げましたが、その分基礎が詰まった会議になるよう工夫を凝らしています。ある意味で地肩の問われる環境で全力を出し切ってもらい、模擬国連の土台形成と、今後の活動方針に資する芽を養っていただければ、会議作成者としてこれ以上のことはありません。
また、上級生の方にとっても、ベーシックな実力の問われる会議経験を踏むことで、これまで自分が何を培ってきたのか、自分の能力がどこまで通じるのかを試し、自身の模擬国連活動の振り返りに役立てていただければと思います。
ここまでの文章にハードルを感じた方もいるかもしれません。もちろん模擬国連への活動意欲が高い方の参加は言わずもがな歓迎しておりますが、模擬国連をうまく楽しめない、何をしていいかわからないという方も、今後模擬国連という活動を充実するにあたって必要な基礎を獲得できるよう、フロント一同サポートいたしますので、奮ってご参加ください。
ここまで読んでくださりありがとうございます。模擬国連という活動を充実させたい、良い形で節目を迎えたいというすべての方のご参加をお待ちしております。
会議コンセプト
Terminal
このコンセプトに込めた意味は2点あります。
1点目はこれまで模擬国連で培ってきたものの集大成となる会議にしたいという想いです。「Terminal」とは日本語で「終点、終着駅」といった意味をもつ言葉です。全日本大会はおそらくすべての方にとって年内最後の会議になると思われます。後輩を迎える、運営代を終える、模擬国連を卒業するなど、この大会がすべての方にとって一つの節目になるでしょう。模擬国連を続ける動機や目的は各人によって異なるところだと思いますが、どのようなゴールを見据えるにせよ、この節目の時期に、これまで自分がどのようなものを得てきたのか、そしてそれがどこまで通用するのかを確かめることは、活動を振り返り、また今後の活動の質を高めるにあたって非常に有意義なものになるはずです。そこで当会議においては1年間の模擬国連活動で、さらにはこれまでのすべての模擬国連活動によって培ってきた経験をすべてぶつけていただき、一つの集大成として会議を迎えてほしいと考えています。
2点目はこの会議を通じてこれからの模擬国連活動の指針を定めてほしいという想いです。電車は終着駅へ着くと、再度同じ路線を逆方向へと戻っていくことから、終着駅は始発駅の役割も担っています。ここから転じて、「Terminal」は「終点、終着駅」という意味に加えて「起点、始発駅」という意味も持っています。自分の強みと課題は、自身の能力を出し切ってこそ明確になるものだと言えるでしょう。前述のように自身の全力を出し切るこの会議を通じて、自身の強みと弱みを正確に把握していただきたいと考えています。
そして自分の現在地点を認識することで、今後どのような点を改善していけば良いのか、ひいては今後どのように模擬国連活動に取り組むのかといった方針を確立することにつなげていただきたいと思います。この会議で明確に方針を確立することまでは難しくとも、自身の向かうべき指針の糸口を掴んでいただき、模擬国連活動におけるターニングポイントとして当会議での経験を生かしていただきたいです。
上記のように、当会議は「しっかりと終われる会議」・「終わりであり、また始まりでもある会議」を目指す会議となります。
具体的な会議設計や議題選定に至った経緯については、会議の特徴の欄に記載しておりますのでそちらをご覧ください。
議題の解説
当会議が取り扱う国連公海漁業実施協定が対象とする魚類は以下の2種類です。
・ストラドリング魚類:複数の排他的経済水域(以下、EEZ)、またはEEZと公海にまたがって(straddle)生息する魚類(スケトウダラ、カレイなど)
・高度回遊性魚類:EEZの内外を自由に長距離移動する魚類の一部(マグロ、カツオなど)
これらの魚類は経済的に重要な魚種であることに加え、沿岸水域と公海の双方に生息するということから管理が難しく、古くから国家間の対立が発生する原因となっていました。
1982年に採択された国連海洋法条約の策定交渉においては、沿岸漁業国が沿岸国の権利を認める提案を行ったことに対し、遠洋漁業国は沿岸国の管轄権を認めない提案を支持し、深刻な対立が生まれました。最終的に採択された条約でも地域漁業管理機関を通じ関係国が保存管理措置に協力するという一般的規定を作成するに留まりました。
この結果、両魚類の保存管理は有効なものとならず、公海における両魚類の乱獲が深刻な問題となりました。
これを受けて1990年から始まった国連環境開発会議の準備委員会において、カナダはこの問題を提起し、公海上での沿岸国の特別の権利を主張して両魚類の乱獲を防ぐべきとの提案を行いました。議論が重ねられた結果、国連環境開発会議では具体的な内容については合意にいたりませんでしたが、1992年に国連総会で両魚類に関する国際会議の開催を決定する決議が採択され、今回模擬する国連公海漁業会議が開催されることになりました。当会議では両魚類についての保存管理のあり方について議論が交わされ、具体的な履行に関する措置が決定されました。
論点の解説
会議において中心となる条文は「第7条 保存管理措置の一貫性」です。
一貫性の原則とは、端的にいえばEEZの内外で行われている魚類の保存措置を一貫して同様なものにするという原則です。
本協定が対象としている魚類は公海とEEZにまたがって生息しているため、EEZ内外で相反する措置が取られた場合には、有効な保存管理の実現は不可能となります。そのため沿岸漁業国・遠洋漁業国共に、一貫性の原則を採用すること自体には合意しています。
しかし原則の適用に際して沿岸漁業国と遠洋漁業国との間で対立が発生しています。
沿岸漁業国は国連海洋法条約第116条(b)の発展的解釈に基づき、公海漁業の権利は同条約第63条第2項〜第67条に言及して、沿岸国の権利、義務に従うべきと考えており、公海での魚類保存措置は沿岸漁業国の優越的権利を確保した上で解釈されなくてはならないと主張しています。
一方、遠洋漁業国は国連海洋法条約第116条(b)を厳格に解釈して、公海における沿岸国の特別利害関係の存在を否定し、魚類の保存措置に合意できない場合は、公海自由の原則が適用されると主張しています。
このように両魚種について保存措置を行うべき、また保存措置について一貫性を担保すべきという方向性自体は合意が生まれていますが、措置の具体的な内容については対立が生じているため、沿岸国および遠洋漁業国の有する権利、義務を含め、履行措置の詳細を詰めていく論点となります。
国割
原則としてシングルでの募集となります。ただしペアを組んで応募を行う場合は、ペアを組みたい理由を明瞭にし、アプライ前メンターなどを通じ、事前にフロントに相談の上でアプライをお願いいたします。
※アプライ前メンター申し込みフォーム:https://forms.gle/tPaBF9jKcvZqHWZi7
(実施期間:9月26日月曜日〜10月23日日曜日)
また国割は参加者数が確定してから決定するため下記の内容から変更する可能性があります。国数は30か国前後を想定しています。
Argentina
Australia
Canada
Chile
China
Colombia
Cuba
Denmark
Ecuador
Fiji
France
Iceland
India
Indonesia
Japan
Micronesia (Federated States of)
Morocco
Namibia
New Zealand
Norway
Peru
Philippines
Poland
Republic of Korea
Russian Federation
South Africa
Spain
Sweden
Thailand
Tonga
Ukraine
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
United States of America
Vanuatu
Venezuela
会議の特徴
当会議では、自身の培ったものが発揮できる環境を整えるために、意図的にシンプルな会議設計・議題選定を行っています。
具体的には以下の4点を意識しています。
①適切な難易度
議論や交渉は各大使が最低限の知識を備えた状態で初めて成立するものと言えるでしょう。なぜなら最低限の知識がなければ、議論において展開される主張や、提示される交渉オプションが妥当であるかを判断することができないからです。これまでの会議において、合意形成へ向けた妥結ラインの模索ではなく、一方的な説明、解説に終始した交渉を経験した方も少なくないのではないでしょうか。究極的には会議に参加するすべての大使が知識を蓄えた状態で会議を行うことが理想的ではありますが、現実的にすべての大使が同様の習熟度を持って会議に臨むことは難しいでしょう。今回扱う国連公海漁業実施協定は、決して簡単な議題ではありませんが、過度に難しい議題ではなく、初心者の方でもある程度の時間をかければ理解することが可能な議題です。そのため大使間の知識レベルでの差が比較的埋まりやすく、より深い議論・交渉を行えると考えています。
また、議題理解に時間を割き過ぎないで良いという点もメリットであると考えています。初心者の方がよく陥るケースとして、議題理解をすることに会議準備期間のほとんどを費やしてしまい、国益設定や戦略策定、文言の作成などに時間をかけられず、会議当日の動きが不明瞭になるパターンが散見されます。議題理解は会議の解像度を高める重要なステップですが、一方で国益設定などの担当国の方針を定める会議準備を行わなければ、会議当日に適切な行動をとることはできないでしょう。難易度が高過ぎない分、議題理解だけで躓かず、バランスの良い会議準備を行いやすい点も魅力の一つです。
②スタートラインの統一
国連公海漁業実施協定は、管見の限りでは初めて模擬国連で取り扱われる議題です。またテーマとしても、海洋法や生物多様性などに関連する議題において、補足知識として理解していることもあるかとは思いますが、公海における漁業資源の保存について真正面から見識を深めてきた方は少ないのではないでしょうか。このように、当会議の議題は、どなたも一からリサーチを行い、理解を深めていく必要のある議題となっております。結果的にはうまくいった会議であっても、知識や経験で圧倒しただけで、自身の外交能力が発揮できたわけではなく不完全燃焼になった経験をもつ方も少なくないと思います。当会議では、大使の方のスタートラインがそろった状態で会議準備を進めることとなり、過去の知識や同一議題の経験によって大幅なアドバンテージを稼ぐことが困難な議題となっています。これにより議論や交渉における真の実力が問われ、自身の現時点の能力が見えやすくなると考えています。
③論点の限定化と交渉オプションの確保
模擬国連では2、3日で会議を行いますが、現実の条約策定会議はおよそ2週間〜数ヶ月に及びます。さらに各国の国内調整やこれまでの準備会合や委員会での議論を含めると数(十)年単位で交渉が進んでいることになります。これらの膨大な議論の積み重ねを、数日間という制約のある模擬国連会議においてすべて再現することは限界があると言えるでしょう。そしてこの模擬国連会議において、単なる意見の応酬に止まらない深い議論や交渉を実現するには、取り扱う論点をより絞り込むことが必要であるとの考えに至りました。国連公海漁業実施協定は全50条からなる条約であり、起草委員会においても多種多様な点について議論が交わされました。しかし当会議で取り扱うのは、特に重要であった1ないし2つの論点のみに絞っています。これにより、4日間という限られた時間の中であっても充実した議論が行えると考えています。
一方、論点を絞り込むことのデメリットとして挙げられるのは、交渉オプションが狭くなってしまうという点です。取り扱う論点が限られてしまうと、文言の範囲も狭くなってしまい、合意形成に至る手段も限定的になってしまうことが往々にしてあります。しかし、この議題では、一つの論点の中でも権利の範囲や履行手段など、詳細部分において詰めるべきポイントが多く存在しており、それに伴って一つの条文においてカバーする文言も広くなっています。そのため、複数の交渉ルートを確保することが可能です。
このように深い議論と自由な交渉が同時に実現できるため、参加者それぞれがムラなく自身の能力を発揮できる設計となっております。
④総合力の問われる環境
模擬国連は議論、交渉、文言作成など様々なフェーズが存在しており、それぞれにおいて問われる能力も異なります。そして究極的にはすべての能力を伸ばしていくことが理想的な大使に近づくにあたり重要だと言えるでしょう。当会議では交渉の形式を縛ったり、会議中の特定のフェーズを重視したりといったことは行わず、オーソドックスな会議形態をとっています。そのため模擬国連において必要な能力が総合的に問われるため、自分が得意な分野と苦手な分野を正確に把握しやすい会議になっている点が特徴の一つです。
以上のように、総じて密度の濃い会議経験を提供できるような議題選定・会議設計を行っています。
またこの会議を通じて得られるものは大きく分けて2点あります。
①模擬国連の技能向上に資するノウハウの提供
模擬国連を行う目的は人それぞれであり、当会議においても各個人の指向性や目指す理想像は多岐に渡ると考えています。しかしどのような目的を有しているにせよ、国益を念頭においた上で、担当国の視点から交渉を行うという模擬国連、ひいては現実の国連外交の根幹を成す部分は共通しているように思います。そして各人の目的達成がどれだけ充実したものになるかは、この担当国の視点から行う交渉において最善を尽くすことにかかっていると考えています。模擬国連を通じて目指すゴールは違えど、一定程度の会議準備・会議行動の質向上は、模擬国連という活動の充実度を高めてくれると言えるでしょう。
特に初心者の方はどういった会議準備をすれば良いのか、また実際に会議当日どのように動けば良いのかというノウハウが固まりきっていない方も多いと思います。会議準備や会議行動の手法に統一した解を求めることは難しく、それぞれのスタイルといったものがありますが、一つの形としてフロントからノウハウの提供を行うことで、会議の充実度を高めたいと考えています。
②深い省察体験の提供
模擬国連会議に出るにあたってはリサーチでおよそ1か月から2か月の時間がかかってしまうため、活動の特徴として試行回数を重ねづらいという点が挙げられます。このような制約の中で自身の成長を遂げるためには、一つの会議でできる限り多くのものを吸収することが不可欠です。そのためには会議当日に心血を注ぐのみならず、会議後の振り返りを丁寧に行うことが重要となります。当会議では当日の議論や交渉、採択文言などの振り返りといった、通常のレビューで行われる会議全体の振り返りに加えて、会議前後の自身の強みと課題を明確にしていただき、そして今後の方向性を考えるといった、各個人の振り返りを行ってていただきます。この振り返りにフロントも参加し、参加者の皆様と共に現在地点を把握するサポートを行うことを想定しています。これにより会議の過程で見つかった具体的事例を一般化し、そして自身の体系へと組み込んでいくことで、次回以降の会議に活かしていただきたいと思います。
また、前述したように当会議の議題は難易度・論点の絞り込み・総合力の必要性など、個人の実力が出やすい会議となっています。そのため、リサーチが足りなかった、内容が複雑すぎて理解できなかった、などの状態が比較的少なくなるため、会議の中での課題が浮き彫りとなり、単線的・表層的でない省察が可能となっています。
フロントからはこれらの振り返りを正確に行えるようなサポートを行います。具体的には会議後のレビューを通常より長く行う、会議直後のレビューに加えて、後日サイドレビューの機会を設けるなど、自身だけでは不安な振り返りをフロントがお手伝いいたします。
1年の集大成として臨む全日本大会といった機会だからこそ、丁寧に自身の課題に向き合うことは意義深いものとなるでしょう。
対象とする参加者
究極的にはコンセプトを理解してくださる方であれば、どなたにも参加していただきたいと考えています。
より具体的に細分化するのであれば、以下のような方があげられます。
・模擬国連を行う目的はなんであれ、会議を通して自身の向上を目指す方
・自分の現時点の実力を確かめたい方
・会議行動に伸び悩みを感じており、ブレイクスルーを求める方
・模擬国連の取り組み方が明瞭になっていないが、今後活動を頑張っていきたいと考えている方
・純粋に会議を楽しみたい方
・模擬国連活動の一つの締め括りとして会議に参加したい方
など
対象とする経験会議数・経験年数などについても設けていませんので、気軽にご検討いただければ幸いです。