WTO改革
会議設定
議題 :WTO改革(WTO reform)
議場 :WTO第12回閣僚会議に向けた非公式会合
設定日時 :2021年9月6日~10月5日
使用言語 :公式/非公式/文書=日/日/日
会議参加国数(予定):20~25か国
募集人数(予定):20~30人
フロント
会議監督:仮谷海人 (神戸研究会・神戸大学法学部4年)
議長:楢崎博子 (神戸研究会・神戸大学法学部4年)
報道官:立見梢 (神戸研究会・大阪大学法学部3年)
福田剛 (日吉研究会・横浜市立大学国際商学部3年)
四宮実彩 (駒場研究会・お茶の水女子大学文教育学部2年)
参加者へのメッセージ
何事にも言えることですが、やはり物事は一生懸命本気で打ち込んだ方が面白いです。何かに本気で夢中になることほど人生が充実することはないと思います。もちろん、それはとても難しいことです。多忙な学生生活、研究会の運営などに追われて、時にはそれを言い訳にして、なかなか本気で模擬国連に打ち込めていない、、、そんな人は多いのではないでしょうか?
たかがサークル。多忙な学生生活の中で、それに命をかけるような取り組み方を期待する人ばかりではないのかもしれません。また、夢中でやれと言われてもどうすれば夢中になれるのかわからず、もどかしい思いをしている人も少なくないでしょう。このように夢中になりきれない状態の裏には、模擬国連という競技や面白みを知る、学ぶ、語らう機会が少ないこと、全力で向かっていきにくい風土など様々な問題があるのではないでしょうか。
でも、全力で、本気で、一生懸命、大げさな表現かもしれませんが「死ぬ気で模擬する」。そんな経験を多くの人にしてみてほしいのです。死ぬ気で模擬した方が絶対に楽しいのに、死ぬ気で模擬できないのはもったいない。人生損です。せっかく模擬をするのであれば存分に余すことなく打ち込んで楽しんでもらいたいと思います。
それでは、「死ぬ気で模擬する」、口にするだけでこっぱずかしいですが、どんなものなのでしょうか?どうすれば、何をきっかけに出来るようになるのでしょうか?
我々の仮説は、大きく2つからなります。
一つ目は、死ぬ気で模擬する原動力となる「ロマン」とも言える模擬国連会議があるということです。議場の大多数が、しっかりとした議題や自国、議論、議場の理解に基づき、会議の展開を予測し逆算して一つ一つの行動を組み立て、議場の動きに合わせて対応し、お互いの手がかみ合い会議が進む。そのような当たり前なようで難しい会議について、しっかりと考え、思い描き、憧れ、そんな会議を形作る一人であろうという野心を持ち、実践して多くの失敗を重ねる。その中で、少しでも理想に近づき自分の可能性を広げて、高みへと努力を続けていく。そういった会議での経験やそこから生まれた思いが、死ぬ気で模擬する原動力になるということです。
二つ目は、「模擬国連についての解像度」「模擬国連の面白さについての解像度」、「模擬国連への向き合い方」の3つの要素を高めると死ぬ気で模擬することに近づくというものです。模擬国連が何なのかその理解度を高め、模擬国連の無限の面白さや奥深さに自分なりのこだわりを持ってのめり込み、野心を持って全身全霊でひたむきな努力を継続する向き合い方ができるようになれば、「死ぬ気で模擬する」ことが可能になるということです。
そのために、参加者の皆さんには、「模擬国連についての解像度」、「模擬国連の面白さについての解像度」、「模擬国連への向き合い方」の3つについて、フロントや他の参加者と一緒に、また自分自身で「見つめなおし」、「新しい可能性(=課題)を発見し」、「夢中で実践し」、「達成する」という経験をしてもらいたいと思います。そして、我々フロントは全身全霊で模擬に向き合える環境を皆さんに用意して、今後、死ぬ気で模擬したいと思わせてくれるような「ロマン」が詰まった会議を一緒に作り上げたいと考えています。
会議コンセプト
「The 4 Cs」
「The 4 Cs」は、ウォルト・ディズニーの夢をかなえる秘訣4つのC、「Curiosity」「Confidence」「Courage」「Constancy」のことです。
この会議では、参加者の皆さんに模擬国連をもっと楽しんでもらいたいという思いから、「死ぬ気で模擬する」べく模擬国連そのものや面白さへの解像度、模擬国連への向き合い方の質を高めてもらい、死ぬ気で模擬する原動力となる「ロマン」と呼べる会議を一緒に作っていきます。その時に、重要となるのが、この4つのCです。
「Curiosity(好奇心)」
死ぬ気で模擬するために重要な、模擬国連や模擬国連の面白さ、目指すべき理想の会議「ロマン」をより理解し、探求していく際には、一定の考えに凝り固まりすぎることのない飽くなき好奇心を大切にしてほしいということです。
「Confidence(自信)」
まず、死ぬ気で模擬するために、自分自身が今まで積み上げてきた「模擬国連」や、現状の最大出力、自分なりの模擬国連に関する考えへの自信を大切にしてほしいということ。そして、この会議を経て自分自身の本気の頑張りが成果につながり自信を持ってほしいという願いが込められています。
「Courage(勇気・覚悟)」
死ぬ気で模擬するためには、甘えを捨てて全力を出しきる、今の自分自身の身の丈、力量に正面から向き合う、そして理想の会議「ロマン」を形作る一人になるのだという大きな野心を持つ勇気や覚悟を大切にしてほしいということです。
「Constancy(継続)」
死ぬ気で模擬する時には、その原動力となる理想の会議「ロマン」を目指して、大変なことや苦しいこともたくさんある中で、努力を継続し少しずつ自分なりの「模擬国連」を積み上げて成長していくことが重要であるということです。
以上の4つのCを大切にして、「死ぬ気で模擬する」ことや夢のような会議を参加者の皆さんと実現していきたいという思いを込めて、このコンセプトにしました。
議題の解説
WTO改革
WTO(世界貿易機関)は、三権分立のような形で、①自由な貿易のためのルールを作る交渉機能、②政府間の貿易紛争を解決する司法機能、③貿易規制の実施・運用を行う行政機能の大きく3つの機能を通して、多角的貿易体制の中核を担う国際機関です。
しかし、現在これら3つの全てが機能不全に陥っているとの指摘が加盟国からあがり、それぞれの点について様々な提案が出ています。
①ルールを作る交渉機能について、WTOでは国家間の交渉によって原則全会一致でルールを作るとされ、その交渉の場がドーハラウンドなどが有名なラウンド交渉です。ドーハラウンドの停滞・頓挫によってルールが更新されることはほとんどない状況で、1)電子商取引などのテクノロジーの進化による新しい分野の未整備のルールの作成や、2)新興国の台頭などに対処するための既存のルールの更新の必要性が指摘されています。また、今まで全会一致だったルール作りの形式についても問題視する声が上がっています。
②司法機能について、WTOにはその設立当初「王冠の宝石」と賞賛された二審制の非常に強力な紛争解決手続きがありました。約25年で非常に有効活用されてきた制度でしたが、米中対立などを背景に上級委員会の判定に不満を募らせたアメリカが、上訴審にあたる上級委員会の委員の選任を拒否し、機能停止に追い込みました。アメリカの問題意識もある程度各国に共有されたうえで、どのようにより良い上級委員会の仕組みを整えるのか、そもそも上級委員会のあるべき姿とはなにかのレベルから各国の意見が対立しています。
③行政機能について、WTO諸協定上、透明性の観点から各国が新規措置を導入した際には各種通報義務があるとされています。しかし、現実には多くの国がその通報をしないなど、履行状況が十分ではないとの指摘がなされています。それを履行させるための方策や、通常委員会の活用などが提案されています。
アメリカや日本、EUなどの先進国を先駆として、様々な問題提起や改革案が出され、それに対する対案も多く出されて、2019年ごろから議論が本格化しました。特筆すべきは、多くの国がWTO改革は必要であるというという認識を持っていながら、そもそも現状の何が問題で、どういう対処が必要なのかといった点についてはとてもバラバラと言う点です。そのため、何がWTO改革なのかも決まっておらず、交渉パッケージも存在しません。一般理事会などでも少しずつ議論がなされ、広範なテーマに関する様々な論点について各国・各グループの意見が出そろったといった段階です。
今回の議場は、新型コロナウイルスの影響で延期されていたWTOの意思決定機関である第12回閣僚会議(MC12)にむけた非公式準備会合です。非公式での会合を重ねて、閣僚会合にむけた草案を作る段階で、WTO改革について閣僚会合の成果文書に何かしら載せようという話が上がったばかりで、具体的に何をどの程度載せるのかについてこれから話し合う段階です。今会議は、各国の思い描くWTO改革の共通部分を見出し、改革を実現する一歩を踏み出そうとする会議であり、MC12後も続くWTO改革の道のりを見越して各国がどのように自国に有利なWTO改革を実現するのか様々な布石を打つ会議でもあるのです。
論点の解説
議題解説からも分かる通り、WTO改革はかなり広範な様々な分野の様々な抽象度の論点を含んでいます。とはいっても、数十個に及ぶ論点を好き勝手捌いてくださいとするわけにはいかないので、一般理事会の議論や各国の提案をベースにフロントからある程度交渉可能な論点を絞ります。
なお、ここでいう論点というのは実質的に議論するための、一般的な意味での論点ではありません。ここでの論点とは、話し合われうる(つまり必ずしもか絶対に話し合わなければならないわけではない)テーマと、認識してください。また、この会議では、フロントが細かい実質的な論点を設定することはありません。実際にどのテーマについてWTO改革として話すのか、話し合うとしてどのような論点を作って、どのような方法で話し合いを進めるのかは全て自由です。
・紛争解決手続/上級委員会
上級委員会への不満を募らせ、その機能を停止させたアメリカは、手続き上の問題や上級委員会の判断による事実上の立法行為(権限踰越)などの問題を提起しました。紛争解決手続について定める紛争解決了解の遵守するように求めるアメリカに対して、真逆の紛争解決手続了解を改正する案がEUや中国などにより提案されるなど対立が激しい問題です。この問題の解決を図る非公式会合も開かれましたが、なかなか解決への糸口がつかめない状況です。しかし、紛争解決手続はWTOの機能の中でも特に重要とされており、素早い解決が期待されています。
・途上国の地位/S&DT
WTOでは、特別かつ異なる待遇(S&DT)と呼ばれる、様々な形での発展途上国への優遇措置が定められています。しかし、発展途上国に関する具体的な定義がなく、自己宣言であるため問題となりました。先進国と発展途上国という2分論に疑問を呈し、途上国地位からの卒業の条件を定めようとする先進国と、現実の格差を強調する発展途上国の対立に加え、途上国地位からの卒業を宣言する新興国や、LDCなど途上国も一枚岩ではありません。背景には中国などの新興国の台頭があり、今後のルール作りの交渉を進めていく上でも重要となる論点です。
・透明性/履行義務強化
WTO協定上定められた通報義務の履行をどのように確保していくのかという問題です。その履行に関する問題が提起され、主に先進国と一部の発展途上国からその履行強化のために罰則を設けてインセンティブを与えるなどの提案がなされました。それに対して、発展途上国は罰則に強く反対し、通報義務を履行する際の能力的な問題を強調して手続きの簡素化を要求しています。実務的なテーマながら、この義務の履行などは間接的に紛争解決手続などにも影響することや、履行強化により新興国の台頭に対抗することを狙っている国もあり、重要な論点です。
・WTO改革の目的や原則などについて
上記の実質的な議論に加えて、様々な実質的な議論の前提となるWTOそのものやWTO改革の原則論、今後のWTO改革を考える上でそもそも目的を何とするのかにも対立が存在します。具体的には、透明性や包摂性などといったどういった原則に従って改革を進めていくのか、ドーハ・ラウンドの停滞・頓挫が明確になった2017年以降活発になった共同提案イニシアティブと一括受諾に関するもの、将来の規制強化や新たなルール作りへの布石を打つための市場志向の条件などに関する議論が一般理事会などで行われてきました。これらの議論をどのように閣僚宣言に反映するのかといった点もポイントになるでしょう。
国割
Australia
Brazil
Canada
Central Africa
China
Chinese Taipei
Costa Rica
France
Germany
India
Italy
Japan
Kenya
Lao People’s Democratic Republic
Mexico
Norway
Philippines
Russia
Saudi Arabia
Singapore
South Africa
Turkey
Uganda
United States
Yemen
※アプライ者数などによって変更になる場合があります
※新メン旧メンは原則シングルで、理由があればペアも可能です(事前にペアを作ること)。アプライ者数が多い場合は、国数やペア数の調整を行います。
会議の特徴
1)戦略が「かみ合う」ための自由度の高い議題と会議設計
当会議は参加者に提供したい経験と議題や会議設計の繋がりが強く、その結果としてとても自由度の高い会議になっています。
WTO改革は、グルーピングの異なる複数の論点があり、議論方法や論点設定の仕方も豊富で戦略的な幅が大きく、議場では実質的な事項の合意を目指しつつ、同時に今後の議論の方向づけなどを行うことになります。その意味で、フロントが「ロマン」とも言える会議を作り上げるために重要と考えている国益や戦略の「逆算」、「予測」、「かみ合う」が大変しやすい議題です。
加えて、全体の合意形成プロセスを考えたときに序盤から中盤の収束地点を切り取る設計はこの会議の特徴で、実質事項の合意から、交渉パッケージの形成、グルーピングの形成や拡大、原則レベルの合意で将来の議論の帰結を有利に絞り込むなどたくさんの選択肢があるため、参加者の皆さんにとても自由で戦略的な交渉を可能にしました。
これらの自由度の高い設計の中で、ロマンと呼べる模擬国連会議を作り上げるべく、参加者の皆さんには将来の議論や望ましい帰結からこの会議での国益を「逆算」し、議場の展開や他国の出方を「予測」した上で、布石を打ち合って、お互いの手が「かみ合う」という経験をしてもらいたいと考えています。
2)共有された理想を、フロントと参加者全員で作り上げる会議
当会議は、もちろん参加者の皆さん一人ひとりが模擬国連などについて考える機会にもなりますが、同時に「死ぬ気で模擬する」経験をしながら、フロントや他の参加者と一緒に「ロマン」ともいえる模擬国連会議を作り上げる会議です。最近よく見るフロントが問題提起をして、参加者の皆さんが自由に考えて答えを勝手に見出す形式ではなく、あえてこちらから模擬国連とは何で、どういうものが理想としてあり、どういったプロセスでその理想を実現できそうなのかに関して大枠を示し、共有したゴールや理想を持った上で、一緒にそれを目指して作り上げる会議です。個人が感じることや持つ課題は人それぞれである一方で、目的意識が明確なので、消化不良に陥りにくいのではないでしょうか。
3)これまでにない新しい「会議準備段階の仕掛け」を模索し、挑戦する会議
当会議では「模擬国連についての解像度」「模擬国連の面白さについての解像度」、「模擬国連への向き合い方」の三つを高めるために、当会議では様々な工夫を設けています。その過程では、これまで定石とされてきた定義・フレームワーク・方法論を受動的に消費するのではなく、主体的に捉えて、「ロマン」作りのために効果的な新しい仕掛けに他の参加者やフロントと挑戦します。参加者の理解度に合わせてBGを分割したり、タスクへの没入を防ぎ、同時に「模擬国連についての解像度」を上げるための工夫が施された数段階に分けられたタスク、他の参加者の模擬国連観などにふれて自分自身の「模擬国連についての解像度」「模擬国連の面白さについての解像度」を高める場としての勉強会を複数開催する(予定)など様々な仕掛けを通して、コンセプトに掲げた事項を達成していこうとしています。
対象とする参加者
基本的に、コンセプトやその背景にある当会議フロントの考えに一定程度共感できる人であれば、漠然と本気で模擬国連に取り組みたい、もっと模擬国連の面白さを知りたい、引退も近いので出し切りたいなどどんな方でも大歓迎です。特に、以下のように感じている人にはぜひ来ていただきたいと思います。
まず、改めて、本気で模擬国連に取り組みたい人。自分なりに、一生懸命模擬国連に取り組んできたが、運営など様々なことがあり最近真正面から向き合えていないと感じている人は、当会議で、真正面から模擬国連に向き合い、「死ぬ気で模擬する」経験をして、模擬国連への向き合い方を見つめなおし、今後に活きる構えを作って頂きたいと思います。
次に、何度か会議に出て経験は蓄積されてきたものの、模擬国連に夢中になるほどの面白さを見いだせていない人。「模擬国連についての解像度」をもう一段階高めると同時に、模擬国連の面白さを感じ取って頂ければと思います。
そして、昔は楽しかったが、成長するにつれ模擬国連の何が面白かったのか分からなくなってきた人。模擬国連に取り組むにつれ少しずつ楽しさや面白みが分からなくなってきた人には、当会議でぜひその思考を整理して、フロントや他の参加者と「死ぬ気で模擬する」経験の中で模擬国連の面白さに改めて気が付いて頂けると思います。
最後に、自分なりに一生懸命に模擬国連に取り組んできたが、あまり成長を感じることができず、気が付いたら老メンになっていたという人。こういう方には、覚悟を決めて「死ぬ気で模擬する」ことで、殻を破って頂ければと思います。
皆さんと「死ぬ気で模擬する」ことを楽しみにしています。